【『世界一受けたい授業』で話題】
フィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一が教える
中年男女に忍び寄る“尿もれ問題”に終止符を打つ方法

40代ともなると、男女ともに忍び寄ってくる問題がある。それは“尿もれ問題”である。しっかりと膀胱から尿を排出したはずなのに、ズボンをもとに戻してあるき出した途端、尿もれが生じて股間部分を汚してしまうことも……。さらに高年齢になると“便もれ問題”も発生する。けっして笑えない人間の尊厳にさえかかわる深刻な問題なのだ。
そこで参考にしたいのが、『世界一受けたい授業』（日本テレビ系）、『金スマ』（TBS系）、『体が硬い人のための柔軟講座』（NHK）などで話題のフィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一氏の著書『10年後、後悔しない体のつくり方』（ダイヤモンド社）だ。
本書は、中高年はもちろん高齢者でも、「これならできそう」「続けられそう」と思えて、何歳からでも体が若返る秘訣を明かした1冊。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、尿もれ・便もれ問題を根本から解説して問題解決法を紹介する。
（監修：田畑クリニック院長 田畑尚吾 医師）

人間の尊厳を損ないかねない“尿もれ問題”

年をとると、「排泄」をうまくコントロールできなくなるケースが増えてきます。

自立した生活を送るため、下半身の筋肉に負けず劣らず大切なのは、排泄にかかわる筋肉です。排泄のコントロールがうまくできなくなると、自立した生活を妨げられますし、人間としての尊厳が損なわれるという感覚に陥ることもあります。

尿と便の排泄が正しくコントロールできている状態を「コンチネンス」といいます。これに対して、意思に反する排泄が起こることを「インコンチネンス」といいます。インコンチネンスを日本語にすると“失禁”です。

ズボンの股間部分を尿もれで汚してしまう

インコンチネンスには、「尿失禁」（尿もれ）と「便失禁」（便もれ）があります。

失禁は、家族にも打ち明けにくいデリケートな話題ですが、花王が2017年に30～79歳の女性642人を対象に行った実態調査では、尿もれの症状がある女性は30代で20％、40代以上で30％を超えることがわかりました。

男性も40代以上ともなれば、小便のあとのキレが悪くなり、ズボンの股間部分を尿もれで汚すケースが見受けられます。表面化していないインコンチネンスは、もっと多いのかもしれません。

筋トレで“尿もれ問題”を予防・改善

インコンチネンスには内臓や神経の疾患などさまざまな要因がありますが、その1つにあげられるのが、排泄にかかわる筋肉の衰えによるものです。

内臓や神経の疾患などによるインコンチネンスは避けるのが難しい部分もありますが、排泄にかかわる筋肉の衰えは、筋トレである程度は避けられます。

「尿もれ」と「便もれ」を防ぐ要の筋肉とは？

まずは尿と便の排泄にかかわる筋肉について知っておきましょう。

体内で尿をためておく「膀胱（ぼうこう）」は、ペットボトル1本分（500ml）ほどの水分をためられる袋のようなものです。膀胱の出口は下を向いていますから、尿が漏れないように、「膀胱括約筋（ぼうこうかつやくきん）」と「尿道括約筋」という2つの筋肉で、普段は硬く閉じられています。

膀胱がいっぱいになったと感知した脳からの指令が伝えられると「尿意」をもよおし、この2つの筋肉がゆるんで「排尿」します。

便をためているのは、大腸の末端である「直腸」です。直腸の出口が「肛門」であり、そこでは「内肛門括約筋」と「外肛門括約筋」という2つの筋肉が、便がもれないように出口をギュッと閉じています。

スロースクワット＆ランジは
尿もれ・便もれ防止にも効果アリ

尿と便の排泄をコントロールしている計4つの筋肉は、自分の意思で動かせる「随意筋」と、自律神経などによって自分の意思とは無関係に働く「不随意筋」に分けられます。

尿道括約筋は随意筋ですが、膀胱括約筋は不随意筋です。外肛門括約筋は随意筋ですが、内肛門括約筋は不随意筋なのです。

以前の記事で紹介したスロースクワットやスローランジのような筋トレで鍛えられる筋肉は、基本的に自分の意思で動かせる随意筋（尿道括約筋・外肛門括約筋）のほうです。

※本稿は、『10年後、後悔しない体のつくり方』より一部を抜粋・編集したものです。本書には、他にも体が若返る方法がたくさん掲載されています。