韓国の歴史を
中国が改ざんする狙い

 中国政府が主導して2003年から07年まで行った東北工程と呼ばれる歴史研究において、中国は韓国の古代史を「丸ごと書き換える(韓国側の主張)」作業を行った。これは韓国の歴史的ルーツとアイデンティティーを否定するものであり、韓国人に大きな衝撃を与えた。

 古朝鮮、高句麗、渤海などは韓国側が韓民族の国家としてきた。だが、中国は、これら3国は漢族と朝鮮族が共存していた国家であり、漢族が建てた国であると主張している。

 こうした中国の主張に対し韓国では、朝鮮を中華の辺境に格下げし、状況によっては再び属国にする足場にしようという意図が読み取れると警戒感を強めている。

 中国がこのような歴史研究を行ったのは、朝鮮半島の事態急変に備えたものであるという見方もある。北朝鮮の崩壊で米韓が進攻してきた場合、中国は北朝鮮との歴史的なつながりを主張することでこれを阻止する狙いがあるというのだ。

 しかし、そうした狙い以上に、そもそも中国は韓国を自国の一部だと見る心理が背景にあるように思われる。

 ちなみに、こうした中国の主張に対し、韓国政府は反論一つできないという弱体ぶりである。

 当時の韓国の大統領は故盧武鉉氏であり、同氏は竹島について、「これは領土問題ではなく、日本が韓国を侵略する第一歩となった歴史問題である」と日本に挑戦してきた大統領である。これを歴史問題化することで、日本のいかなる主張にも強烈に反応した人である。

 その人が、中国に対しては一言も言えないのである。韓国の国民の歯がゆさはいかほどのものであろうか。中国を不愉快に思う気持ちがますます高まってくるであろう。