【欠点③】単語数が多いため、コミュニケーションが遅くなる

 コミュニケーションにおいて、スピードは非常に重要です。組み立てる単語数が多いと、コミュニケーションの速度が落ちてしまいます。速度が落ちてしまうと、それを受ける相手の負担も大きくなります。

 その結果、コミュニケーションが円滑に進まないという可能性が高まります。

英文を「3語」で組み立ててみる

 ここで発想を変え、先の英文を組み立て直しましょう。余計な単語があれば1語でもそぎ落とし、できるだけ「やさしく」表現してください。

 基本的には、どのような英文も「3語」を基本として組み立てましょう。「3語」とは、主語、動詞、目的語を指します。つまり、「誰か[何か]が何かをする」という文です。

 ちなみに、「3語の英語」の「3語」には、冠詞や修飾語をカウントに含めません。それでは、先の英文を組み立て直してみましょう。

The news made me surprised.

The news surprised me.

It is not difficult for me to understand your situation.

I can understand your situation.

There is a need to buy this book.

I need to buy this book. / I need this book.

 これらは「かっこいい英語」ではないかもしれません。しかし伝わる英語です。そして組み立てやすく、誤りが起こりにくい英語といえます。

 これが「3語」で伝える英語です。「3語」で伝える英語には、次の3つのメリットがあります。

「3語の英語」の3つのメリット
1.結論(動作)がすぐ伝わる
2.組み立てやすくなり、誤りが減る
3.コミュニケーションのスピードが上がる

 次回以降の連載では、引き続き、「日本人の英語がなぜ伝わりにくいか」、そして「3語の英語をどうやって使えばよいか」を詳しく見ていきます。

関連記事① 「英語は3語で伝わる」特許翻訳者が教える“やさしい英語”とは?
関連記事② 日本人はbe動詞を使いすぎ!冗長な英語をやめるコツ

「日本人の英語は長くて、難しい」3つの欠点とは?
中山裕木子(なかやま・ゆきこ)

株式会社ユー・イングリッシュ 代表取締役。公益社団法人日本工業英語協会 専任講師
1997年より企業で技術分野の日英翻訳に従事。2000年、特許事務所で電子・電気、機械の特許明細書の日英翻訳を開始し、テクニカルライティングに出会う。特殊で難解な特許の英語であっても、平易に表現できないかと模索を始める。2001年に工業英検1級取得。首位合格により文部科学大臣賞を受賞。2004年、フリーランス特許翻訳者になる。同時に、公益社団法人日本工業英語協会の専任講師に就任し、企業や大学の理工系研究者に対し、技術英語・特許英語の指導を始める。2014年4月、技術英語を専門とする翻訳と教育の会社、株式会社ユー・イングリッシュ設立。高品質の技術翻訳サービスと技術英語指導サービスの提供により、日本企業や大学における技術系英文の品質向上に尽力する。著書に『技術系英文ライティング教本』(日本工業英語協会)、『外国出願のための特許翻訳英文作成教本』(丸善出版)がある。