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12月決定会合、政策金利0.75%に引き上げ
不確実性低下と内需堅調、円安が背景
日本銀行は、12月18~19日に開いた金融政策決定会合で、政策金利(無担保コールレートの誘導目標)を0.25ポイント引き上げ、0.75%とすることを全会一致で決めた。
この結果、政策金利は、1995年8月以来、約30年ぶりの水準にまで引き上げられた。
当時は円高急騰などに対する景気下支えの利下げ局面でのことで、政策運営の方向は現在とは異なるが、金融政策正常化を進める日銀にとっては1月以来の利上げとなる。
今年は、トランプ関税など米国の通商政策の影響などの不確実性要因が生じたこともあって、政策金利は、1月の利上げ以降に0.5%で据え置かれてきた。
今回の決定会合の声明文の中で、日銀はこの不確実性が低下したとの認識を示したほか、高水準な企業収益や良好な業況感による設備投資の増加と、雇用・所得環境の改善による個人消費の底堅さを指摘した。
前回10月会合後の会見で植田総裁がポイントとして挙げた2026年春の春闘賃上げに向けた「初動のモメンタム」についても、声明文は、労働需給の引き締まりと高水準の企業収益の下で、ヒアリング情報などをもとに、今年に続くしっかりとした賃上げが実施される可能性が高いとの見方を示した。
さらに積極財政・緩和維持を掲げる一方、物価高対策を最重要課題とする高市政権との間でも、輸入物価の上昇を再燃させる円安回避ということで思惑が一致、利上げの追い風になったと考えられる。
決定会合後の記者会見で、植田和男総裁は「インフレ率、成長率とも下振れリスクが低下した」とし、「見通し期間の後半には基調的な物価上昇率が2%目標と整合的な水準で推移する見通しが実現する確度は高まった」との自信を示し、今回にとどまらず、26年も金融緩和の度合いを調整する方針を改めて語った。
だが、引き続き、穏やかな利上げを続けるには、なお解決すべき課題が残る。







