中国は2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量を抑制する目標を掲げているが、同国の鉄鋼需要は引き続き旺盛だ。図らずも鉄鋼産業は中国で最もエネルギーを消費している産業である。一方、鉄鋼価格は2021年に入り急騰し、米鉄鋼大手ニューコアなどの株価が過去最高値を更新している。中国政府は過去、鉄鋼供給を一時的に抑制する力があることを証明しており、再び抑制に努めている。これは価格がつり上がっている理由の一つだ。ただ、価格と排出量の双方に関する中期的な見通しは、需要の伸びを根本的に抑制できるか否かに大きく左右される。そのためには、住宅や建設から経済をシフトさせる必要があるが、これまでのところ、そうした長年の目標は捉えられていない。