『「課長」から始める 社内政治の教科書』【試読】Photo:PIXTA

ダイヤモンド・プレミアム(有料会員)ならダイヤモンド社のベストセラーが電子ブックでお読みになれます!月ごとに厳選して提供されるダイヤモンド社の話題の書籍から、ここでは一部を抜粋して無料記事としてお届けします。全体をお読みになりたい方はぜひダイヤモンド・プレミアム(有料会員)にご登録ください!今回は2021年6月提供開始の『「課長」から始める 社内政治の教科書』。「やりたいこと」「正しいと思うこと」を実現するためには、政治力が欠かせません。事例も豊富に紹介しながら、具体的なノウハウをお届けします!

 政治を軽蔑する者は、
 軽蔑すべき政治しか持つことができない。
  
トーマス・マン

はじめに

 社内政治――。

 この言葉を聞いて、あなたは何をイメージするでしょうか?

 サラリーマンを題材にした漫画やテレビドラマの世界で繰り広げられる、激しい権力争いでしょうか。あるいは、上層部に媚(こ)びへつらう上司や、ライバルの足を陰で引っ張る同僚の顔を思い浮かべるでしょうか。いずれにせよ、ほとんどの人は、社内政治という言葉によい印象はもっていないと思います。

 私も、リクルートに入社したばかりの若いころはそうでした。

 社内の根回しに走り回る上司や、やけに社内事情に詳しい同僚を少し冷ややかな目で見ていました。「内向きになってどうする? 仕事はお客様のほうを向いてするものだ」「裏工作をするのは潔くない」などと思ったものです。

 そして、社内の政治的な動きは気にもかけず、目の前の仕事に全力を注ぎました。そして、営業マンとして、6年連続でトップセールスを記録。30歳になるころには社内的なポジションもそれなりに確立することができました。

 しかし、間もなくカベにぶつかりました。マネジャー(課長職)に昇進してからのことです。それまでは、スキルを磨きながら、がむしゃらに仕事をすれば結果はついてきました。ところが、マネジャーになったとたんに、それだけでは仕事がうまく回らなくなったのです。