読書をしない子どもが増えている。その結果として、文章を正しく読めず、知識を身につけられない、成長しても学力が伸びない学生が増えている。『読書をする子は○○がすごい』(日経プレミアシリーズ)の著者・榎本博明氏は、子どもが本を読む習慣を身につけることの重要性と、国語教育の変化に警鐘を鳴らす。
子どもたちの学力の二極化はどこで生じるのか?
目まぐるしい技術革新によって、私たちは先の読めない時代を生きている。AI(人工知能)によってなくなる仕事は何か、生き残る仕事は何かといった議論が盛んだが、AIの発達は私たちの職業を脅かすまでになっている。子どもたちは将来、私たちの想像も及ばない世界を生きることになるのだろう。
今の私たちにできるのは、この先どんな社会になるにしても、その社会の荒波を乗り越えるだけの知力を身に付けていける教育的環境を与えることだ。まず大事なのは、子どもの知的好奇心を引き出すことである。学ぶ意欲さえあれば、その時々に必要なことを貪欲に学んでいける。
生後1年くらいで最初の言葉を発し、2歳くらいでしゃべり始めた子どもたちが、やがて字を覚え、絵本や児童書を読めるようになっていく。当初はあまり差がなかったはずなのにいつの間にか、知的好奇心が強く、いろんな本を読み、知識や読解力を身に付けながら自分の世界を広げていく子と、知的好奇心が乏しく、本を読むことなくスマホばかりいじり、知識も読解力も乏しく、狭い世界に閉じこもっている子に分かれていく。