経営戦略デザインラボPhoto:PIXTA

デジタル化が進めば進むほど、実体のあるタンジブルなもの、「手触り感」のある体験や商品がより価値を持つようになります。「農業」は、農作物が日々成長するという手触り感があり、その奥に文化や歴史といった琴線に触れる存在があります。都心在住者が農業に魅了される理由を紐解いていきましょう。(ONE・GLOCAL代表 鎌田由美子)

※本稿は書籍『「よそもの」が日本を変える』(日経BP)の内容を抜粋し、一部再編集しています。

都心在住者が
「農業」に魅了される理由

 日本を代表する音楽プロデューサー小林武史さんが音楽活動の傍ら、有機野菜の栽培や養鶏に取り組み始めたのは10年以上前のこと。2019年秋には千葉県木更津市にサステナブル ファーム&パーク「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」をオープンしています。

 なぜ、高感度の人たちの多くが農業に魅了されるのか?

 共通しているのは、ものづくりの奥深さでしょう。同じ土地でもつくり方で出来上がりが変わるだけでなく、天候など自然に大きく左右され、常に同じものはできません。形は不ぞろいであっても味の濃い野菜に驚いたり感動したり。

 環境ともつながる生き方を体感し、同時に入り込むほどに、サプライチェーンの中での商品の流れと、身近なものづくりとの違いに気がつきます。

 今まで、農業に参入していた人の多くがこうしたイノベーターでしたが、その活動がよりボリュームの大きい層にも広がっていることを感じています。