巨大農場がひしめく北海道で、一般的な規模拡大路線に背を向けてメロンの直売という独自路線を歩み、売上高1億4000万円を達成した寺坂農園の寺坂祐一さん──。成功の裏には言い知れぬ苦労があった。特集『儲かる農業 攻める企業』(全17回)の最終回#17では、メロン畑に除草剤をまかれて1500万円の損失を被り、うつ病が悪化する「どん底」から這い上がった不屈のストーリーをお届けする。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
経済的・精神的ダメージで
うつ病が悪化、耐え難い孤立感
豪雨や農産物の価格暴落など農家を襲う悲劇は数多い。しかし、北海道のメロン農家、寺坂祐一さんのように「明確な悪意」によって踏みにじられたケースはまれだろう。
寺坂さんが経営する寺坂農園(中小キラリ農家20位。中小キラリ農家の詳細は本特集の#10『すごい中小農家ランキング!1位は非農家出身32歳、京都府の若手ホープ』参照)は2017年7月、何者かにビニールハウス6棟に除草剤をまかれ、収穫直前のメロンが全滅してしまったのだ。