【第2位】海外で寄生虫に感染
3年ほど前にロバを買いにメキシコに行った。その当時は世界的にロバ不足が起きていて、メキシコでもロバを買うことはなかなかに苦労したけれど、「大丈夫」と自分に言い聞かせ、無事にロバを買うことができた。
問題はその後だ。先の「大丈夫」はふりではなく、どうにかなるだろうという楽天的な考えから出た「大丈夫」。そして、その直後に「大丈夫じゃない大丈夫」が起きる。そう、寄生虫が体内に侵入していたのだ。
現地で食べた何かに寄生虫がいたらしく、私は寄生されたわけだ。泊まっているホテルで寝ていたら、嘔吐と下痢が起き、熱が出た。それは耐え難いもので、体中の穴という穴から何かしらの液体が出ていた気がする。
現地の病院に行き、エコー検査をした結果、寄生虫とわかり、点滴を打ってもらうことになった。
医師が「学生さんに打たせて大丈夫か?」と私に聞いた。反論する元気もなく「シー(大丈夫だよ)」と私は答えた。本当は経験豊富な人に打ってほしかったけれど、キツいし、スペイン語もよくわからないので、大丈夫なふりをしたのだ。
その結果、学生さんは針を指すのを何度も失敗し、結局手の甲というかなり痛い部位に点滴を打つことになる。針が手の甲に入るその瞬間、私は「アウチ」と言ってしまった。「痛い!」ではなく、英語が出たことに自分でも驚いた。寄生虫は人を英語圏の人間にするのだ。学生さんは、申し訳なさそうな顔をしていたけれど、私は次の瞬間には笑っていた。
この本にもいい一文がある。
「愛される人はよく笑う」
そいうことなのだ。笑うのだ。だから私は愛されたのだ、寄生虫に。あらゆるものから愛されていたのだろう。寄生虫を調べるエコーで、胆嚢にポリープがあることもわかり、ポリープにも愛されていると判明した。