世の中には、さまざまな時短のノウハウがあふれている。しかし意識の高い時短テクではなく、ただルーティン作業をなるべく省略したいといったものぐさゆえの類いもある。魅力的な中年男性たち(ナイスミドル)も、試行錯誤の末、驚きの時短テクを持っていた。(フリーライター 武藤弘樹)
苦節20年、屈辱の歴史
ついに大成した秘奥義「5分風呂」
“ナイスミドル”という言葉が表しているのは、熟年男性のみが備えうる独特の魅力についてである。どんなに魅力的な男性でも、若くて熟し加減が足りなければナイスミドルには決して手が届かない。
今回はそんな年齢相応の思慮深さや賢さを兼ね備えたナイスミドルたちが、ひそかに編み出した、バカバカしくも、目からうろこの時短テクを紹介したい。
まず、ナイスミドル代表の筆者(40歳男性である)が、実践しているものを紹介しよう。風呂の時間を大幅に短くするスキルで、“5分風呂”とネーミングしてある。最終的にはシャワーを浴びながらタオルで体を拭くところまでいく。
実は“5分風呂”が完成するまで、20年近くの年月をかけた紆余曲折の努力があった。当初“5分風呂”は、ただの意気込みを示すためだけの言葉として機能していた。なんとか風呂を早く終わらせたいとき、「5分風呂してくる」と家族に宣言をする。こちらは本気で5分で済ませるつもりなのだが、結局大体10分はかかるので、家族は「はいはい、10分風呂ね」と取り合わなかった。
屈辱であり、なんとか5分で済まそうと肌がめくれそうなスピードで、必死に頭と体を洗うのだが、どうしても10分近くかかってしまう。
しかし、力ずくだからうまくいかないのではないかと気づいた。一流スポーツ選手も、力のうまい使い方を身に付けるために古武術を習ったりすると聞くし、ここはひとつ力を抜いて試してみようかと思い至った。
ただし単に脱力しただけではやはり7、8分あたりにある壁がどうしても破れない。そこでさらにひらめいたのが「洗い流さない」というアプローチであった。