ソフトバンク離婚劇、WeWork創業者へ手切れ金上乗せPhoto:VCG/gettyimages

 ソフトバンクグループはシェアオフィスを手掛ける米WeWork(ウィーワーク)を救済した2年近く前、共同創業者アダム・ニューマン氏との決別を模索していたが、それは簡単な「離婚」とはいかなかった。

 証券当局に今月提出された報告書によると、ウィーワークは2月、ニューマン前最高経営責任者(CEO)への株式報酬を約2億4500万ドル(約270億円)相当に拡大した。こうした手当ては他の初期株主には適用されておらず、これまで報告されていなかった。

 株式報酬は2019年の退職金を巡る再交渉の一環だ。当時、この退職金によってニューマン氏とソフトバンクの長引く対立に終止符を打ち、ウィーワークの新規株式公開(IPO)へ向けた道を開く狙いがあった。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

 最終パッケージは2億ドル近い現金支払いを含む他、ニューマン氏は4億3200万ドルの債務を有利な条件で借り換えられ、同氏の所有企業が5億7800万ドル相当のウィーワーク株を売却することも容認している。

 資料ではさらに、2019年のニューマン氏退任後、ウィーワークが同氏の指示で買収した多くの企業を売却し、多額の損失を出したことも記されている。現金とウィーワーク株合わせて7億5900万ドルを投じた10件の投資案件で、結果的に回収できたのはわずか1億6400万ドルとなった。