「当社のデータでは売れている物件の価格帯は4000万~5000万円前後、首都圏でも駅近など利便性の高さが求められます。なかでも人気なのが、前保有者がフルリノベーションをした中古マンション。実例では、前保有者が複数の居室をひとつの部屋に間取りを変更し、広さ70平方メートルのワンルームにした部屋がすぐに売れたのが印象的でした。一般的な不動産仲介の視点では、70平米のワンルームを売るのはかなり難しい。フルリノベの中古マンションを扱っている当社ならではの事例ではありますね」

 新築マンションの場合は100戸あれば100人に売らなければならず、誰もが「良い」と感じる、無難な部屋になりがちだ。そのため個性や自分らしさを求めるニーズは満たされないという。

「不動産業界には『中古のフルリノベマンションは売れない』という定説があり、売る側のノウハウも蓄積されていません。でも、視点を変えると中古リノベマンションは希少性が高い一点ものなので、オーナーのこだわりが1人のユーザーに響けば、すぐに成約につながります。リノベマンションを購入してから自分で手を加えるという人もいます」

 今後、中古住宅が市場に広がれば「住宅に関するさまざまな価値観が大きく変わるはず」と春田氏は予想する。

「新築信仰だけでなく、日本人には『買った家には一生住み続ける』という固定観念も強いです。しかし実際には、子どもが生まれて手狭になったり、反対に子どもが巣立って広くなりすぎたりと、ライフステージが変化していきます。中古物件が流通すれば、暮らしの変化に合わせて家を買い替える、という選択が当たり前になるかもしれません」

 これからは「家を売る前提で住まいを選ぶ人も増えるのでは」と、春田氏。マイホームの概念も時代に合わせて変化しているようだ。