2015年に東証1部へと市場を移したスノーピーク。2020年12月期の連結業績は、売上高が前期比17.6%増の167億円、純利益が前期比2.5倍と、大幅な増収増益を達成し勢いに乗っています。会長の山井太さんが「ライフバリュー」経営について語る本シリーズ。第2回となる今回は、「スノーピークはなぜマーケティングをしないのか?」。そのほか、「スノーピーク・パーソン」に必要な3つの要素や、長年のアップルユーザーである山井さんがアップル製品から学んだことについても語ってもらいました。(聞き手/ダイヤモンド編集部 長谷川幸光)
「スノーピークパーソン」に
求められる3つの要素
――山井さんは、スノーピークの経営陣やすべての社員に必要な要素として、「クリエイティブパーソン」「アウトドアパーソン」「オーナーシップを持つこと」の3つを挙げていらっしゃいます。
1959年生まれ、新潟県三条市出身。明治大学卒業後、外資系商社勤務を経て、父が創業した現在のスノーピークに入社。1986年、家業のヤマコウに転職。 1996年に代表取締役社長に就任。社名をスノーピークに変更する。2014年に東証マザーズに上場、2015年に東証1部に市場変更。2020年に代表取締役社長を娘の山井梨沙氏に譲り、代表取締役会長に就任。 Photo by Teppei Hori
私たちはスノーピークで働く人のことを「スノーピークパーソン」と呼んでいます。このスノーピークパーソンは、分解すると、クリエイティブパーソンとアウトドアパーソンから成り立っています。加えて、それぞれが「オーナーシップ」を持つことも大事な要素です。
今、スノーピークは連結ベースで約600人の従業員がいますが、そのすべてがキャンパーです。つまり600人のキャンパーが集合した企業というわけです。キャンパーしか雇わないため、1つめの「アウトドアパーソン」というのは入社時に既に担保されています。
2つめの「クリエイティブパーソン」というのは、何もデザイナーに限ったことではありません。経理も総務も、工場で働く社員も、どのような職種であってもクリエイティブでなければならないと思っています。
普段、仕事をしている時や社内の既存の価値観の中で、少しでも疑問があれば、それが何かを明らかにしてアップデートしていく。必要であればまったく新しい取り組みを始める。ゼロから1を作り出すことを大切にしています。
――スノーピークはマーケティングを一切やってこなかったと聞きましたが、それはなぜでしょうか?