コロナワクチン写真はイメージです Photo:PIXTA

高齢者を対象としたワクチン接種が進んでいる。「予定」では、一般成人への接種も夏には始まる。ここまでいろいろな情報が錯綜(さくそう)し、接種に不安を感じているご本人やご家族も多いだろう。医療者として一足先にファイザー/ビオンテック製のmRNAワクチン接種を済ませ「私の体験談から、事前に『こういうもの』というイメージを持っていただければ」と取材に快く応じてくれた保険調剤薬剤師の大森比奈子さん(仮名)にお話をうかがった。(医学ライター 井手ゆきえ)

(プライバシーに配慮して仮名としています。また、各自の接種に関しては厚生労働省の「新型コロナワクチンQ&A」、もしくは専門医有志が提供している「こびナビ」ほか、かかりつけ医の意見を参考にしてください)

薬の専門家でも不安に取り込まれそうになった

「1回目の接種のときに『初めてのワクチン』と、それに伴う副反応に対する不安が先走って、『メタ認知』が難しくなりました」というのは、関西の地方都市で調剤薬局を経営する保険調剤薬剤師の大森比奈子さん(仮名)。「町のくすり屋さん」として地元のニーズに応え、服薬に不安を抱えた患者さんの相談にも科学的根拠(エビデンス)に基づいた知識と長年の経験から冷静に対応してきた。もちろん、ワクチン接種についても同様だった。

「私はアレルギー体質で気管支ぜんそく持ちなのですが、季節性インフルエンザのワクチンは医療職として毎年、きちんと受けてきました。アレルギー反応のリスクよりも感染予防のベネフィットのほうが大きいと理解していましたから」

 しかし、今回は勝手が違ったという。「宝くじに当たるはずがない、とは認知できるのに、副反応で恐ろしいことが起こる、という思考に取り込まれそうになりました。実際は新型コロナウイルスに感染して死亡する確率のほうが高いというのにね」と苦笑する。