自己免疫疾患がある方は
かかりつけ医に事前相談を

「副反応の症状が出ていた時期は、不安が先走ってしまいました」(大森さん)。薬剤師という薬の専門家にしてそうなのだから、私たちのような一般人は不安になって当たり前、むしろ正常な感覚、という認識でいたほうがいいのかもしれない。大森さんは心の動揺や副反応への対応をあらかじめ想定して「接種翌日は休めるようにしておくと安心です」という。

 実際、大森さんが経営する調剤薬局では、休前日に接種ができるよう薬剤師、スタッフの接種スケジュールを組んだそうだ。一般企業の間でも「ワクチン接種休暇」を認める動きがじわじわ広がっているが、シフト勤務などで有休、公休が難しい場合は、できる限り休前日に予約を入れるようにするといいだろう。

「このほか食料や水、補水液、また、発熱や頭痛に備えて解熱鎮痛薬のアセトアミノフェンを準備しておくといいですね」(大森さん)

「接種会場に行くまでに、しっかりと『腹をくくって』地に足をつけておくことも大切です」とは大森さん。不安感が強いと接種直後の迷走神経反射など生理的なストレス反応が増幅し、くらくらして失神することもあるからだ。

「このほか実際的なこととして、怪我や何かの制限がなければ利き腕を避けて接種したほうがいいでしょう。また、肩から二の腕までをすぐに露出できる服装を心がけてください。私はノースリーブのシャツにカーディガンを羽織っていきました」

 大森さんからは3週間後の2回目接種についてのコメントも届いている。

「1回目と同じように次の日に発熱と倦怠感がありましたが、37.3℃と微熱でした。今回は下痢はありませんでした。接種後12時間前後で発熱があるようなので、帰宅後はあらかじめ準備していた食事をもりもり食べ、水分をたくさんとって早めに寝ました」

 若年層は2回目接種後の副反応が強いという報道が多いが、これも個人差があるようだ。

「2回目接種では少し余裕も出てきて、微熱や倦怠感があっても『おぉ、私の身体がコロナと闘う免疫を今、作っているんだなぁ』と冷静に捉えられましたね」

 調剤薬剤師としてのアドバイスもいただいた。

「新型コロナワクチン接種の予診票を記入する際、ご自分の治療内容がわからない、記載項目にある『血液をサラサラにする薬』がどれなのか、わからない方もいると思います。事前に『おくすり手帳』を持ってかかりつけ医や、いつも利用している調剤薬局で確認しておくと安心です」

 特に複数の医療機関を受診している方は、複数の医師に聞き回るより、普段から利用している調剤薬局でまとめて確認するといい。接種当日も念のためにおくすり手帳を持っていくとなお安心だ。

「このほか、リウマチの治療などで免疫抑制剤やステロイドを服用している方、抗がん剤治療を受けている方、自己免疫疾患の治療を受けている方は、必ず、主治医と相談されることをお勧めします」(大森さん)

 少しはワクチン接種前後のイメージができただろうか。もちろん接種後の反応には個人差はあるが、備えあれば憂いなしだ。気になる有害事象/副反応については、厚生労働省の「新型コロナワクチンQ&A」の情報が参考になる。