写真:南 昌宏・りそなホールディングス社長Photo by Toshiaki Usami

ESG(環境・社会・企業統治)やSDGs(持続可能な開発目標)の流れが日本企業に到来している。メガバンクが投融資目標を打ち出す中、りそなホールディングスも負けじと「りそならしい」独自戦略を掲げる。その狙いを、南昌宏社長に聞いた。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

2030年までにESG投融資10兆円を実行
りそな南社長が「金額ありきではない」と語る真意

――昨今、SDGs(持続可能な開発目標)や脱炭素の流れが加速しています。メガバンクはサステナブルファイナンス(持続可能な社会を実現するための資金供給)の目標金額を打ち出しました。りそなグループとして、この流れの中で何に取り組みますか。

 りそなのメインの顧客は、中堅・中小企業や個人などのリテール分野だ。この分野の顧客に対して、SX(サステナブルトランスフォーメーション)をどう支援するかが、われわれの使命の一つだ。

 リテールの顧客がどうやってトランジション(移行)していくかを、りそならしく、伴走型で寄り添いながら支援していく。

 現時点では、サステナブルファイナンスの分野で、2030年までにまずは累計10兆円の実行額を積み重ねることをメルクマール(指標)にしている。

 ただ、金額ありきではない。重要なことが3つある。

 まず一つに、中堅・中小企業や個人の顧客が、SXの流れにおける自らの現在地について、共通理解を持つことが出発点になる。現在地を知るということは、どのような事業機会やリスクが降り掛かるのかを整理することだ。

 これらを踏まえて、具体的にどんな一歩目を踏み出すかをりそなから提案することが、二つ目のポイントとなる。

 さらに中長期的に見ると、中堅・中小企業がSXという大きな変化に適応しながら成長を続けることが、りそなの成長につながる。これが三つ目のポイントだ。

――二つ目のポイントに関して、中小企業にはどのようなリスクが迫っているのでしょう。