銀行とクレジットカード事業を軸に、規模拡大を続けるイオン金融。昨年には生命保険会社を傘下に収め、総合金融ナンバーワンの座を射程に捉えた。特集『コンビニ金融最前線』(全8回)の#7では、かつて待ったをかけた「幻のイオンペイ」の再始動など、イオンが繰り出す次の一手を探った。(ダイヤモンド編集部 中村正毅)
銀行業界の注目が集まる
イオンによるスルガ銀行買収説
「スルガ銀行へのご関心はないのですか。あそこは財務内容も決して悪くないですよ」――。
イオングループの金融統括会社、イオンフィナンシャルサービスの経営陣は昨年以降、銀行業界の関係者などからそう水を向けられることが多くなっている。
スルガ銀といえば、3年前に投資用不動産を巡って多数の不正融資が表面化し、大混乱に陥った地方銀行だ。
創業家出身のトップは失脚し、経営陣を刷新。家電量販店などを展開するノジマが18%超の株式を取得することで、支援の手を差し伸べたという経緯がある。
一方で、「事業シナジーがなかなか見えず、ノジマが持て余してしまっている。株の譲渡先を水面下で探しているのではないか」(首都圏の地銀幹部)という観測が絶えない状態なのだ。
なぜ、譲渡先の候補としてイオンの名前が挙がるのか。それは三つの条件を満たしているからだ。