株式や外貨に投資するインフレ対策が怖いと考える人には、インフレに強い国債で運用するという選択肢もある。検討してみる価値はあるだろう。(経済評論家 塚崎公義)
普通の国債はゼロ金利だが
銀行預金の金利はほぼゼロであり、インフレになれば預金の目減りは避けられない。預金は、インフレに弱いリスク資産なのだ。
従って、インフレに強い株式や外貨との「分散投資」を検討すべきだと筆者は考えている。詳しくは拙稿(https://diamond.jp/articles/-/267255)を参照されたい。
しかし、株式や外貨は値下がりするリスクがあるので持ちたくない、という人も多いだろう。特に高齢者の中には「株はバクチだ。そんなものには手を出したくない」という人も多いようだ。
それなら国債はというと、普通の国債は利回りがほぼゼロである。つまり、「10年間預けると元本がそのまま戻ってくる預金」のようなものだ。「タンス預金すると泥棒や火事が怖いから、仕方なく」というのはわからなくはないが、決してお勧めしたいとは思わない。
個人向け国債の3年物と5年物は、マイナス金利ではないが、金利0.05%で資金を預けるわけだから、インフレで目減りするリスクは決して小さくない。これも、お勧めしにくいだろう。
しかし国債の中には、インフレに強いものがある。個人向け国債10年物と、物価連動国債だ。