Slackの通知音や着信音が
幻聴で聞こえてきた

 会見に出席した教師たちは「長時間労働、残業代不払いは教員業界全体に広がる普遍的な問題。特にN高は利益ばかりを追い求める中で、教員の労働問題だけでなく教育の質の劣化によって生徒、保護者も犠牲になっている」と訴えた。

 このうちの一人は「給与はほぼ最低賃金。拠点で授業満足度1位になっても給与に反映されず、退職金もない」とし、今後の生活への不安をのぞかせた。

 また、最近退職した教師は「業務過多で日に日に疲弊し、ピークで忙しかった時期には、休日にもSlackの通知音や着信音が幻聴で聞こえてきたり、エアコンの音が着信音に聞こえることがあった」と嘆いた。

 学校側は「教員の過重労働や待遇改善を目指して、分業化やIT化、残業時間の削減を積極的に行っているという自負を持っている」としている。

 是正勧告を機に、教師側と学校側の間にある隔たりを埋められるか。ICT活用と分業化で、働きやすい環境と教育の質の両方を高めたいという理想を共に目指せるか否か、その分岐点に立つ。