インターネットで学べる高校として日本一の生徒数を誇る角川ドワンゴ学園の「N高」は、教師の就職人気も高い。しかし、その職場は実は超過酷。経験の浅い教師でも、担任として150人の生徒を受け持つのが当たり前になっている。特集『教師 出世・カネ・絶望』(全15回)の#1では、知られざるN高教師の仕事とカネの大問題を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 松野友美)
生徒数日本一で就職人気も上々
けれど現場の教師は転職先探し
開校5年で生徒数日本一を達成。インターネット授業と通信制高校の制度を組み合わせた“ネットの高校”である角川ドワンゴ学園の「N高等学校(N高)」が人気を集めている。そのN高で教師たちが深刻な労働問題を抱えていることがダイヤモンド編集部の取材で分かった。
N高は教師を目指す学生からは就職先として人気上々だ。就職活動イベントでは、同校のブースにひときわ大きな人だかりができる。
昨今、全国で教師の過重労働の問題が取り沙汰されている。就活学生は先進的な教育方法はもちろん、ICT(情報通信技術)活用や業務の分業で効率化を図って教育の質にもつなげていこうというN高の運営体制に引かれるのだ。
ところがである。複数のN高教師が実は過酷な労働環境であることを明かした。
新米レベルの教師であっても2学年の生徒約160人を担任し、リアルで行う授業も詰め込まれている。生徒数が急増する中で残業を前提に大量の仕事が割り振られ、職場は転職を考える者ばかりだというのだ。
しかも「初任給の基本給は最低賃金レベル」とあるN高教師は打ち明ける。学校公式サイトの新卒採用ページで募集事項に「初任給23万円」と記されているが、そこにはカラクリがあった。