◇目標達成のデメリットと現状維持のメリット

 次に、裏表思考法について説明する。裏表思考法のやり方はシンプルで、あなたがなにかに行き詰まったりうまくいかなかったりするとき、「うまくいったら実は困ること」「うまくいかないほうが実は得すること」の2つを考えてみるのだ。

 たとえばあなたが「英語圏へ海外留学したい」と思ったとして、「うまくいったら実は困ること」を考えてみよう。貯金が底をついたり、友だちに会えなくなったり、恋人と別れなければいけなかったりするかもしれない。

 続いて、「うまくいかないほうが実は得すること」も考えてみよう。このままキャリアを積めば収入アップにつながる、留学費用があれば海外旅行に10回行けるなどといったことが思いつくのではないだろうか。

 こうした「うまくいったら実は困ること」「うまくいかないと実は得すること」が潜在意識の中にあると、行動に無意識にブレーキがかかったり、うまくいかないほうを選択してしまったりする。裏表思考法によってそのことを自覚しないと、課題を解決できない自分を責めてつらくなってしまうだろう。

◇「心のノイズメモ」でノイズを可視化する

 裏表思考法を実践すると、あなたを邪魔するメンタルノイズが見つかる。何かがうまくいかないときは、あれこれ思い悩んでしまう前に「うまくいったら実は困ること」「うまくいかないほうが実は得すること」の2つを考えてみよう。

 裏表思考法を実践するときに注意したいのは、頭の中で終わらせるのではなく、紙と鉛筆やスマートフォン、パソコンなどを使って「心のノイズメモ」を書き出すことである。潜在意識にあるものを引っ張り出すのだから、書き留めないとすぐに忘れてしまう。倫理や道徳、常識、正義といったものをすべて取っ払って、思い浮かんだものを片っ端から書き出そう。

 書き出す数は、少なくとも6個。6個を超えて出てくることが潜在意識の奥のほうに眠っているといわれているためだ。

 書き出してみて、原因がわかってスッキリしたら、それでOKだ。「今のままでいい」という結論になることもあるだろうが、あきらめたことをネガティブにとらえる必要はまったくない。