中東情勢混乱で日銀「次の利上げ」は6月か、市場乱高下で“様子見”入りも利上げ路線は変わらない3月9日、米国とイスラエルの軍事作戦でイラン・テヘランの石油貯蔵施設が攻撃を受け、空は黒煙で覆われた Photo:NurPhoto/gettyimages

中東情勢を受けた金融市場の乱高下は、日本銀行が利上げを一時的に見送る理由にはなる。しかし、様子見姿勢を続ければ、円安と原油高の相乗効果でインフレへの対応はさらに後手に回る。スタグフレーションも怖いが、慢性インフレに至る道も怖い。3月の利上げはないが、4月または6月の利上げは避けられないだろう。(亀田制作 SOMPOインスティチュート・プラス エグゼクティブ・エコノミスト)

4月利上げを阻止する可能性がある中東情勢
日銀「様子見」で6月利上げの可能性高まる

 筆者は1月の寄稿で、日本銀行は追加利上げの鍵を握る賃金・物価上昇の持続性について、「特定の指標やイベントで確認する姿勢」から、「既往の利上げの悪影響がないことを、金融環境の点検や企業ヒアリングを通じて早期に把握する姿勢」に転換したと指摘した(『日銀「4月利上げ」可能性高まる、“静かなる変貌”示唆する植田総裁会見4つのポイント』参照)。そして、この日銀のスタンスの変化を踏まえ、次回の利上げ(0.75%→1%)を最速で4月の金融政策決定会合だと予想した。

 その後、日銀の金融政策を巡る環境に二つの大きな変化が起きた。

 一つは、2月8日の衆院選で高市早苗首相が率いる自民党が、地滑り的な勝利を収めたことだ。もう一つは、2月28日に米国とイスラエルがイランを攻撃し、中東情勢が一気に緊迫化したことである。

 既定コースと思われた「4月利上げ」を阻止する可能性があるのは、このうち中東情勢の方だ。

 高市政権は、今回の選挙で政治的な基盤を強固にした。だが、金融市場からの信認は、あくまで「責任ある積極財政」の「責任」部分を実際に見せることが前提である。政権は、市場の造反を招きかねない日銀へのあからさまな介入を引き続き控えるとみられる。

 一方、中東情勢の緊迫化については、市場のボラタイルな動きや先行き不透明感は利上げ見送り要因として働き、原油高や円安の進行は利上げ前倒し要因と、方向が真逆の二つのルートがある。

 中東情勢や米国・イランからの情報が錯綜し、市場も乱高下している間は前者のルートが重視され、日銀は一時的に様子見姿勢に入ると予想する。しかし、様子見姿勢が長引くとさらなる円安を呼びこみ、原油高との相乗効果で金融政策の「ビハインド・ザ・カーブ」ぶりがますます明らかになってくるため、それにも限界がある。

 具体的な利上げ時期については、3月の利上げはないが、予定通り4月なのか、それとも6月にずれ込むのかの見極めは中東情勢次第で難しい。本稿を執筆している3月半ばの時点では、中東情勢を巡るボラティリティーは低下するどころかむしろ高まっているため、どちらかと言えば6月利上げの可能性が高いとみておきたい。

 次ページでは、それぞれのポイントについての筆者の考え方を、もう少し詳しく述べる。