「マンションにお住まいの場合、建物の管理会社に連絡するといいでしょう。ただし、管理会社はあくまでエレベーターや廊下といった共用部分の維持管理などを受託しており、住民間のトラブルの解決は求められていません。従って、管理会社の対応は騒音防止の注意喚起の張り紙を共用部分に掲示する、といったアプローチにとどまることも多いです。騒音の発生源となっている住人に直接注意を促す、といった役割までは期待できないのです」

騒音主に直接クレームは
さらなるトラブルを招くリスクも

 分譲マンションの場合は区分所有者(分譲マンションの購入者)で構成される管理組合があり、管理組合の理事長による直接の対応を求めることもある。組合によっては当事者双方から話を聞き出し、仲裁に向けて尽力してくれるケースもあるだろう。だが、組合も原則としては住民同士のトラブルに関与する必要はなく、解決のために動いてくれないところも多い。

 管理会社による張り紙での注意喚起に効果がない場合、騒音主の元を訪れて、直々にクレームを入れたくなるもの。しかし、その場合は二次被害を受ける危険性があり、格別の注意を払う必要があるという。

「ご近所付き合いは長く続きますから、騒音トラブルは穏便に収めるのがベスト。しかし、騒音主に直接苦情を告げるような場面で冷静でいられる人は少なく、手紙を出すにしてもついつい攻撃的な文言になってしまいがちです。また、騒音を出す人にはタチの悪いタイプも多く、クレームを言いに行って暴力を振るわれるなど、警察沙汰につながるリスクもあります。とはいえ、直接話し合いを持ちかけることが全てダメというわけではなく、相手方の素性がある程度わかっていて、ヒートアップせずに伝えるべきことをしっかり告げることができれば有効な手段となることもあります。その際は『なんとかなりませんか』という形で、あくまで穏やかに掛け合ってみるといいでしょう」

弁護士へ相談する際の
事前準備と注意点

 騒音主と直接交渉して改善を促すことができれば何よりだが、性格的にそのようなアプローチが難しく、より甚大なトラブルに発展するのを恐れる人も多いだろう。管理会社や管理組合に連絡しても改善が見られない場合、弁護士への相談も視野に入ってくる。

「騒音トラブルに見舞われた際にやっておくべきことは、いつ、部屋のどの辺りで、どのような物音がしたのかといった記録をメモに残しておくことです。メモ自体は裁判の決定的な証拠とまでは言えませんが、弁護士が状況を把握するのをスムーズにしてくれます。また、市販の騒音計を購入して騒音の大きさを測っておくことで、場合によっては裁判を有利に進めることができます」