SNSのトラブル写真はイメージです Photo:PIXTA

近年、ネットトラブルが増加している。今年5月には人気リアリティー番組の出演者が、SNSでの誹謗中傷に苦しみ自殺する事件が発生。このような痛ましい事件が起こってもなお、SNSを開けば匿名の投稿者たちが過激な言葉で悪意あるコメントを繰り返している。なぜSNSでの誹謗中傷は後を絶たないのか。情報リテラシーの専門家として、全国で講演を行っている小木曽健氏に、その理由を伺った。(清談社 山田剛志)

誹謗中傷を繰り返す人は
炎上を目的化している

 かつてSNS事業者のネットパトロール部門の責任者を務め、これまで数多くのSNSトラブルに接してきた小木曽氏は、社会問題化しているSNSでの炎上事情をどのように見ているのだろうか。

「スマホやSNSの利用者増に比例して、トラブルの件数は増えています。ただし重要なポイントは、実際にSNSで悪意あるコメントをしたり、炎上に参加している人の数は、皆さんが思っているほど多くないということです。昔から、頻繁に新聞社に投書したり、わざわざテレビ局にクレームの電話を入れるような人はいましたが、そういった人たちは往々にして少数派で、身近な存在ではなかったと思います。ネットで誹謗中傷を行う人たちも、同じくらい少数なんです」(小木曽氏、以下同)

 さらに小木曽氏いわく、ネットで人格攻撃などを繰り返す人は共通して、“暇”であり、日常生活でも“ 頼られたり感謝されたりしていない”人物であることが多いという。

「日常的に頼られ、感謝されているような人は、気持ちも満たされているし、そもそも忙しい。ネットのバカ騒ぎに加担する暇もありません」