利益を上げた会社は何をすべきか

 目標とする利益を十分に上げた会社は次に何をすべきか。

 もっと世の中の人に喜んでもらうにはどうしたらいいか。

 ある社員はこう言った。

「社長、必要な利益を十分上げたのだから、これからは無料にしましょう」

 すると注文が殺到する。

 商品を渡せる人、渡せない人が出てしまう。

 以前、有料で買ってくれたお客様は「不公平だ」と思うだろう。お客様に対して失礼なことになる。

 社員は考えを改めた。

「やっぱり有料で販売して利益を上げ、利益目標を超えた金額を寄付しましょう。これこそが社会貢献ですよ」

 だが、いざ寄付しようとしたら、様々な団体があることに気づいた。

 貧困や食料不足に苦しむ人たち、学校にいけない子どもたち、地震や豪雨で被災した人たち……世の中には困っている人がたくさんいる。

 たまたまニュースなどで知った人や団体に寄付をすることになるが、それでいいのか。

 世の中にはもっと困っている人がいるのではないか。

 本当はすべての困っている人を把握し、優先順位をつけて援助できればいいが、自分の力では難しい。

 では、どうしたらいいか。

 そのために行政と税金という仕組みがある。

 不案内の分野に寄付するのではなく、本業に専念して利益を生み、納税したほうが役に立つ。日本の社会は、必要以上に利益が出た分は、税金という形で社会に還元される仕組みになっている。

 行政は日本中から集めた情報をもとに、どこにどれだけのお金を分配すべきかを決める。稼いだ利益は行政を通じ、日本全体がバランスよく、みんなが幸せになるよう適切なところに分配される。

「累進課税」では、利益を上げれば上げるほど税率が高くなる(本書図表13)。

そもそも利益とは何か?利益を上げた会社は何をすべきか?「利益率29%」社長が初めて語る。図表13

 生活に必要な最低限度の金額はどんな人でもあまり変わらない。

 だから稼げば稼ぐほど税率が高くなるのは理解できる制度だ。

 多く稼いだらそれに応じて納税し、社会に還元する。

 だから世の中に役立つには、より多くの利益を上げることだ。