社内禁煙の強制、たばこ部屋廃止は
労働条件の不利益変更ではないか?
会社内でたばこが吸えなくなることにショックを受けたAは、10時になると自分の仕事を放り投げ、たばこ部屋へ走っていった。そして先にいた他のメンバーにB課長から聞いた話を伝え、叫んだ。
「自分は仕事中だけではなく、出勤後や昼休み、退社後と1日5回この部屋でたばこを吸い、みんなと会話するのが唯一の息抜きなんです。なのにこの部屋が取り壊しとは許せない!」
D元課長も怒りの声を上げた。
「ふざけるな!そんなこと、会社が独断で決めていいはずがない! これは労働条件の不利益変更だ。よし、皆でE社長に会い決定を撤回してもらおう!」
他のメンバーも賛同した。
そして勤務終了後、たばこ部屋のメンバーは全員社長室を訪れ、E社長に対して「会社内での全面禁煙は労働条件の不利益変更であるから、変更を撤回したばこ部屋を廃止しないでほしい」と訴えた。メンバーの殺気だった様子を見たE社長は絶句した。
皆が帰った後、E社長は深く椅子に腰をかけ直しため息をついた。そして、
「たばこ部屋を廃止し会社内を全面禁煙にするには、なぜそれが必要なのか、しっかりした根拠を説明しなければ、絶対彼らは納得しないだろう」
と感じ、その方策をF社労士に相談することにした。