「老人だから」を理由にゴリ押し、時間を奪う人たち

 例えば、順番待ちの列に割り込んだ高齢男性。こちらが最後尾に案内するも、

「耳が遠いからよく聞こえない!」
「立ってるのも、しんどいんだ!それくらい特別扱いをしろよ!」
「年寄りだからってばかにしてんのか!?」

 などと、老化に伴う身体的な衰えを理由に、過度な要求を無理やり通そうとする人。

 また、社会通念を逸脱した行為に対して注意をすると、「耳が遠いんだ」「ボケたかな」などとうそぶいて相手の話を聞こうとしない人。

 女性スタッフの体に直接触るなど、セクハラまがいな行動をし、とがめられると「年寄りだから」などと言い訳する人。

 こうした「老人だから」を理由に、過度で理不尽な要求を押し通そうとする人は少なくありません。業務上の理由や公益性の観点からお断りすると、いきなりキレだすのも特徴です。さらに、一度キレだすと、不満と怒りがどんどん雪だるま式に大きくなり、直接的には店に関係のない文句を言い始めるなど、最後には本人もどうしたら怒りが収まるのかわからなくなってしまいます。興奮状態になって土下座を強要するような行為も、自分で怒りの収拾が付かなくなっているからだといえます。
 
 そうなると、自身の理不尽な加害行為を棚に上げ、被害者意識にスイッチが入ります。

「ばかにしているのか!!!!」
「年寄りは死ねばよいのか!」

 と、怒鳴ることも珍しくありません。

 また、他にも、話しぶりは穏やかでも

「私が子どもの頃はね……」
「あなたはどこの出身なの?」
「うちの息子がね……」

 などと、自身の身の上話や職員のプライベートについてなど脈絡なく延々と話し続け、長時間の接遇を求める困ったお年寄りもいます。

 こういう人は、迷惑ではありますが、業務を妨害するクレーマーだとも一概に言いづらく、現場にとっては非常にやりにくいタイプかもしれません。要求がわかりにくく、話が長く支離滅裂。静かに話を聞いていたつもりが、何かのきっかけで不満が爆発してびっくりすることもあります。