既に「一仕事」を達成した野田首相の行動は、「延命」では説明できない。むしろ、いつでも衆院解散・総選挙を断行する覚悟を持って臨んでいる(第39回を参照のこと)。野田首相が衆院解散時期の明示を拒み、条件を次々と提示するのは、解散をできる限りいいタイミングで断行するためと解釈すべきである。

 野田首相は、世論の動向もさほど気にしていないようだ。不人気な消費税という課題に「政治生命をかけて」取り組んだのだ。支持率が地に落ちるのは想定の範囲内だからだ。一方、これから政権奪取をめざす自民党にとっては、世論は無視できないものである。しかし、自民党にとって悩ましいことに、国民生活に直結する特例公債法に審議拒否すれば、必ず世論の厳しい批判を浴びてしまう。世論に関しても、野田首相より自民党の方が不利な状況にある。野田首相から慌てて解散に動く必要はないのだ。

 更に、民主党から離党者が後を絶たないことも、野田首相は気にしていないだろう。確かに、野田政権発足以来、離党者が衆院で合計60名に達している。現在、あと6人が与党から離れると過半数を割り、内閣不信任案の可決が現実味を帯びてくる。だが、野田首相は離党者が更に出ても構わないと思っている。解散の4条を民主・自民・公明の三党合意の枠組で通せればいいからだ。世論を恐れる自民・公明は、特例公債法案を犠牲にしてまで内閣不信任案に同調することはできないと、野田首相は読み切っている。

党首はいいが、フォロワーが
国民を失望させる新党の現実

 政局のもう1つの焦点である「新党」の動きはどうだろうか。石原慎太郎氏が東京都知事を辞任し、新党結成と衆院選出馬を宣言した。石原氏は、平沼赳夫代表の「たちあがれ日本」と合流して新党を結成し、橋下徹代表の「日本維新の会」や、渡辺喜美代表の「みんなの党」との大連合による、「第三極集結」を呼びかけている。

 新党に対して、既成政党に対する失望と、政治を覆う閉塞感を打破したい国民の願望が寄せられているのは事実だろう。だが、新党の現実は、国民の願望とは程遠いものだ。