大手塾で算数講師の経験を積んだ後、算数専門のプロ家庭教師として約20年間、2000人以上のお子さんを指導してきた中学受験専門のカリスマ家庭教師・安浪京子先生は、その経験から「ノートをひと目見ると、その子の学力がわかる」と言います。
ノートとは、思考を整理して、それを自分や相手(採点者)に伝える練習をするための基本の道具。しかし、子どもはもちろんのこと、保護者ですら、ノートの価値を低く見積もっている方が多いそう。6年生でもノートの書き方を知らない子は多く、その状態のまま、受験勉強に励んで伸び悩んでいる子は多いのです。
本連載では、「ノートの正しい書き方を知らずして、学力は上がらない」と断言する安浪先生が、指導の中で必ず教えるノート術を初公開した話題の新刊「中学受験 必勝ノート術」の中から、一部を抜粋し、ご紹介していきます。
ノートで「思考の過程」を可視化するのが大事な算数
「ノート術」が合格への大きなカギを握っているのはすべての教科で言えることですが、特に算数は、問題文の時系列にそって図や式を書けるかどうかが、得点力に直結します。
「速さ」の問題ならば、“子どもが家を出て10分後にお父さんも家を出ました。途中で忘れ物に気付いた子どもがお父さんと出会い……”と問題文が何行も続くため、情報を可視化して整理しなければ(線分図の作成)、解法の糸口が見つかりません。
可視化された情報(線分図)を見て初めて、今度は思考を整理し、理解を深めていくことができます。
このことは同時に時間の節約にもなります。「いちいち書き出していると時間がかかる」と思う子もいるようですが、むしろ逆です。
テストの見直しや指導のときも、思考過程が書いてあれば、どこでつまずいたかをすぐに発見できますが、書かれていないと一から考え直さねばならず、非常に時間がかかります。
算数は特に、このような、書き方の技術と時間の使い方が合否をわけると言っても過言ではないでしょう。「中学受験 必勝ノート術」では、思考を整理しやすい線分図や図形の書き方も説明しています。ぜひご参考にしてください。