大手塾で算数講師の経験を積んだ後、算数専門のプロ家庭教師として約20年間、2000人以上のお子さんを指導してきた中学受験専門のカリスマ家庭教師・安浪京子先生は、その経験から「ノートをひと目見ると、その子の学力がわかる」と言います。
ノートとは、思考を整理して、それを自分や相手(採点者)に伝える練習をするための基本の道具。しかし、子どもはもちろんのこと、保護者ですら、ノートの価値を低く見積もっている方が多いそう。6年生でもノートの書き方を知らない子は多く、その状態のまま、受験勉強に励んで伸び悩んでいる子は多いのです。
本連載では、「ノートの正しい書き方を知らずして、学力は上がらない」と断言する安浪先生が、指導の中で必ず教えるノート術を初公開した話題の新刊「中学受験 必勝ノート術」の中から、一部を抜粋し、ご紹介していきます。(初出:2021年7月13日)
解き方は分かっていたのに得点できず、不合格になる子は多い
“模試であるある”のこんな光景……。「算数はできた! 100点!」と言って子どもが会場から出てきたのに、返却された答案を見ると全然点数が取れていない! 実際に返された算数の問題用紙・解答用紙を見ると、転記ミスや計算ミスが非常に多いのです。
なぜこのようなことが起きるのかというと、子どもは解法が見えたことを「できた」と思うからです。しかし、算数は正しい数字を書かないと正解にはなりません。
そして恐ろしいことに、これは入試でもよくあることです。解き方はわかっていたのに、緊張や焦り、日ごろの書き方のクセなどによって正しく書けず、残念ながら不合格になってしまう子はたくさんいます。
この悲劇を防ぐためには、日ごろから丁寧に書く練習をしておくことが非常に大切です。
丁寧に書くのは、面倒くさいことです。
しかし、受験はある意味、忍耐の勝負でもあります。
遊びたいのを我慢するのはもちろん、知識問題を覚えたり、自分が興味のない分野にも取り組まねばなりません。こういう面倒くさいこととどう向き合ってきたかが入試では問われるのです。
だから、文字を丁寧に書く、式を端折らずに書く、自分を律してコツコツとノートを書くといったことがすべて、合格につながっていきます。