日本屈指のインフルエンサー、ひろゆき氏。ベストセラー『1%の努力』では、自らの生い立ちを振り返りつつ、いかにして最小の努力で最大の成果を上げてきたのかを赤裸々に独白。「努力すればなんとかなる」というメッセージに対抗し、これからの時代を賢く泳ぎわたるための“考え方の考え方”を語っている。一方、Twitter『精神科医Tomyのつ・ぶ・や・き♡』の“神ツイート”でフォロワーの心をわしづかみにし、最新刊『精神科医Tomyが教える 1秒で元気が湧き出る言葉』で、悩める読者に「心のサプリ」を届けている精神科医Tomy先生。努力する人の非生産性を指摘するひろゆき氏と、努力に疲れ果てた人の心を癒やすTomy先生が、「いい努力」「ムダな努力」をテーマに行った対談の模様を3回に分けてお送りする。
間違った努力を直す精神科医のアプローチ
1976年、神奈川県生まれ。中央大学在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、『無敵の思考』『働き方 完全無双』(大和書房)、『論破力』(朝日新書)、『1%の努力』(ダイヤモンド社)などがある。
Tomy:ボクの患者さんには、自分がやりたいことがよくわかっていなくて、そのせいでムダな努力をして摩耗している人が結構います。
そういう人を見て「やっていることが間違っているな」とは思うけれど、そのまま指摘しても本人がいい方向にいくわけではありません。その人の考え方や姿勢、性格などを踏まえて、適切な言い方で伝えるようにしています。
ひろゆき:「こうしたほうが正しい」ということがあったとき、伝えても無視する患者さんがいたら嫌いになったりしないですか?
Tomy:一応医者なのでイライラする様子はおくびにも出しませんけど、「あ、通じないな」と思うことは確かにあります。
そういうケースって大半は自己愛なんですよね。本当に困ってるわけじゃなくて、「私、こんなことで困ってて大変なんです」という話を聞いてほしいだけだったりする。でも、相手の話を丁寧に聞いていると、いつの間にか「聞いてもらって当たり前」という感じになって、その人の悪い性格が冗長されていきます。
なので、そういう場合はあえて聞かずにボクのほうがしゃべるようにしています。それが嫌な人はボクのところには来なくなるし、それはそれで構わないんです。
ひろゆき:「この薬を飲ませると努力がうまくいきやすい」みたいなことって、あるんですか。
Tomy:薬は疾患の治療で使うので、そういう用い方はしないですね。努力の問題であれば、患者さんが抱えているのは「悩み」の範疇であると判断したときには、「あなたは病気じゃなくて悩んでいるだけので大丈夫ですよ」ということになります。
ひろゆき:瞑想を覚えたら努力できるようになる、みたいなことはあるんですか。
Tomy:瞑想は専門外ですが、上手にやると副交感神経が優位になって、寝やすくなったりリラックスできたりするので、結果的に努力がうまくいく可能性はあると思います。
ひろゆき:そういうテクニックを教えてあげると、得する人が増える気がしますけど。
Tomy:深呼吸をするだけでもだいぶ違うので、テクニックを教えることはいいことだと思います。あとは考え方を変える方法もあります。カウンセリングの分野では「認知行動療法」という基本的な技法があります。
物事がうまくいかなかったり、体調が悪くなったり精神的に調子を崩すのは、物事に対する認知のゆがみがあって、それに気づいていないから。そういう考えに基づいて、まずは患者さんに認知のゆがみを認識してもらい、その上で行動パターンを変えてもらう療法です。それが自分のスキルになれば、ストレスに強くなったりムダな努力を回避できたりするかもしれないです。