「いつもの環境」から抜け出そう
Tomy:努力を努力だと思ってるときはうまくいかなくて、自分では無自覚だけど他人から「努力してるね」と言われるときにはうまくいくような気がします。辛い思いをしながら努力しているときって、自分に向いていないことを無理やりやってるときなので、苦しむわりにには大したパフォーマンスを上げられないイメージがあります。
ひろゆき:例えばお金が全然なくてバイトを掛け持ちしている人のように、その仕事自体は全くやりたくないけど、お金のためにやってますという人がいっぱいいるじゃないですか。その場合、お金がない状況を変えるというのが先なんですか? お金がなくても暮らせるようにするとか。
Tomy:やりたくないことをやらされるより、お金がないほうがマシという価値観がありそうな人には、「バイトをやめてみたら」って言ってみます。逆に、嫌なバイトをしていても、お金のことを気にしない生活のほうが幸せという人もいるので、その人はバイトを続ければいいんじゃないかと思うんですけど。
ひろゆき:嫌なことをして損をしていると認知しない方向に誘導するような感じですか。
Tomy:それは結構大事です。嫌なことにしか目を向けない人には「あなたは辛いと言ってるけど、結果的にうまく稼げているからその仕事の才能があるかもしれないし、その仕事をしないともっと辛い状況になるんじゃないですか」と伝えることはあります。それが認知行動療法に近いかもしれないです。
ひろゆき:前にも言いましたけど、ムダな努力を正しいと思い込んでいる人を直すのは難しくて、他人のアドバイスをうまく聞きやすい人のほうが、ムダな努力から抜け出せる可能性が高いわけじゃないですか。Tomyさんが考える、他人の話を聞けるようになるためのコツってなんですか?
Tomy:全ての人の平均像を想定したときに、どんな人でも自分の考え方がズレている部分というのは、絶対的にあるわけですよね。そのズレの度合いを他人に聞くなりしてある程度把握しておけば、何かの情報を得たときに、ズレの部分を差し引きして「このへんが妥当じゃないかな」と思えるようになる。だから自分のズレ加減を知っておくことがすごく大事です。
ひろゆき:でも、周りの人がみんなズレていたら、直しようがないですよね(笑)。
Tomy:確かに研究所とか学校とか、特殊な環境にいると価値観が偏ってしまうことがあります。医者も診療科とか大学の医局によっても雰囲気が全然違うので、自分と同じ環境の人とだけ交わっているとズレに気づきにくくなります。だから、固定化した「いつもの人間関係」から一歩外へ踏み出してみる努力は大切かと思います。社内の人間関係だけでなく、例えば異業種交流みたいな場に参加するといったことです。
ひろゆき:ムダな努力をしないためには、いろんな友だちをつくったほうがいいということ?
Tomy:それも一つの方法ですよね。あとは自分の考えに固執せず、いろんな考え方を受け入れて、参照できるようになるといいです。ひろゆきさんが2ちゃんねるをつくったときに、「ユーザーがどう書くのかを見たかった」とおっしゃってたじゃないですか。ああいうスタンスって、すごく大事だと思います。
自分とは違う考え方の人がいたときに、「こういう発想の人もいるんだ」と面白がれる人は、自分の価値観も相対的に観察できると思うんです。