東芝の後を追うように、三菱電機でも品質検査の不正という深刻な不祥事が発覚した。両社は共に「重電企業」と呼ばれ、どちらの不祥事も相当に「悪い」。しかし、投資判断においては、同じ不祥事企業でも評価が全く異なってくる。その理由をお伝えしよう。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)
東芝に負けない「悪さ」
三菱電機が品質不正の不祥事
先週の拙稿『「底なしに悪い会社」東芝から得る7つの教訓、山崎元が解説』で、東芝のことを「底なしに悪い」と書いた。どのぐらい悪いかの基準があるわけではないのだが、何度も不祥事を起こし、この度は経済産業省とも擦り合わせた上で特定の株主に圧力を掛けた嫌疑が濃厚なので、「悪い」と言って問題はなかろうと判断した。
さて、ライバル会社の「悪さ」に刺激されたわけでもないだろうが、「俺の方がもっと悪いぞ!」と言いかねない勢いで、三菱電機が鉄道車両向けの空調装置と空気圧縮機ユニットの検査に長年かつ意図的な不正があったことを発表した。
ただし、経営陣はその事実を把握し、経産省に報告を済ませていたにもかかわらず、株主総会の前に発表するのではなく、株主総会後の発表となった。報道によると、問題の把握が6月14日、経産省への報告が6月25日、株主総会が6月29日で、検査不正の発表は6月30日だ。この経緯にも問題がある。