日産の組織マネジメントの仕組み、
「社内コンサルティング部門」とは
日産自動車V字回復の立役者だったカルロス・ゴーン元会長が表舞台から去って、2年あまりが過ぎた。ゴーン元会長は、金融商品取引法違反の罪に問われて海外に亡命中であるが、かつて日産の経営者として大規模な人員整理、工場の閉鎖、系列の見直しを大胆に実行し、公約(コミットメント)通りの業績回復を実現した再建計画(リバイバルプラン)については、一定の評価を受けている。
ただ、ゴーン時代に仕組み作りが行われ、ルノー、三菱自動車とのアライアンスによるグローバル経営での業績拡大を支えた組織マネジメントについては、知られていない。今回は、当時の事例を基に、企業における組織マネジメントの重要性を考えたい。
日産自動車における組織マネジメントの一例に、ゴーン元会長の指示で設置された社内コンサルティング部門(組織開発部)がある。筆者も同部門にかつて所属していた。
社内コンサルティング部門は、(文字通り)社内に設置されたコンサルティング部隊である。外部コンサルタントに依存していた機能を企業内に確立し、知見を蓄え、自社の社員が外部コンサルタントと同様の手法で経営課題に取り組むという目的を有している。
社内コンサルティング部門は、難易度の高い経営課題に取り組むため、コンサルティング経験を持つ中途社員と、事業に精通した生え抜きの幹部候補社員で構成される。中途社員と生え抜き社員は、各プロジェクトにバランス良く任命される。