中国は新型コロナウイルス感染拡大後で初めて、主要な金融政策手段である預金準備率を引き下げた。それだけではない。9日に発表された中国の月次融資データによると、経済全体の債務およびエクイティファイナンス(新株発行による資金調達)残高の伸びは、数カ月にわたり急減速していたが、前年同月比で11%と安定し、銀行融資は増加している。中国の金融政策は、引き締め姿勢から中立に移行した。疑問なのは、なぜ今なのかということだ。ブルームバーグの4月の報道によると、規制当局は銀行に対して年内の融資拡大を抑制するよう明確に指示していたが、それからわずか数カ月しかたっていない。害のない見方としては、中国人民銀行(中央銀行)が主張しているように、納税シーズンが近づくにつれ、季節的な流動性ニーズが高まることへの対応もあるかもしれない。預金準備率の引き下げにより、約1兆元(約17兆円)の流動性が確保されるが、その一部は人民銀からの借入金の返済にも充てられるだろう。