ジョー・バイデン米大統領は先週、市場を支配している企業の力を抑えるための大統領令に署名した。これを後押ししたのは、米国では過去20年間に大企業の力が増すにつれて経済の競争力が低下したとする学術研究だ。この研究によると、競争力の低下は経済全般に大きな影響を及ぼしており、活力のある新興企業の減少、雇用市場のダイナミズム低下、労働者の賃金停滞、経済全体の生産性抑制などが生じている。こうした状況を受け、民主党は競争促進を政策課題の柱に据えた。バイデン氏の大統領令は、巨大IT(情報技術)企業から航空機の手荷物運賃まで、さまざまな業界の競争を阻害しかねない商慣行や企業再編について是正を求めるよう連邦機関に促す内容だ。これに対し、共和党と一部の保守派エコノミストは、企業再編の度合いに疑問を投げかける研究や大企業が消費者に及ぼす恩恵を示す研究もあるとし、政府介入は米経済の生産性低下につながるリスクがあると述べている。
米企業の競争力低下、バイデン氏を突き動かす
独占抑止は得策か 研究は大企業の支配下で経済の競争力が衰えたことを示唆するが…
有料会員限定
あなたにおすすめ