プルデンシャル生命保険で「前人未到」の圧倒的な業績を残した「伝説の営業マン」である金沢景敏さん。営業マンになった当初はたいへん苦労しましたが、あることをきっかけに「売ろう」とするのをやめた結果、自然にお客様から次々と「あなたからサービスを買いたい」と連絡が入るようになりました。どうすれば、そのような営業スタイルを作り上げることができるのか? 本連載では、金沢さんの初著作『超★営業思考』を抜粋しながら、その「秘密」をお伝えしてまいります。

結果を出し続けるのは、「勝ち負け」にこだわる人ではなく、「やるべきこと」をコツコツ続ける人写真はイメージです Photo: Adobe Stock

仕事は「要領よく」やるものである

 仕事に「要領のよさ」は必要です。

 辞書を調べると、要領とは「物事を上手に行うコツ」と書いてあります。すなわち、要領とは「できるだけ少ない労力で、より大きな成果を得るコツ」と言ってもいいでしょう。つまり、「要領よく仕事をする」とは「生産性の高い仕事をする」と同義ということですから、ビジネスパーソンが追求すべき重要なものです。

 そして、僕はわりと「要領のよいタイプ」です。

 TBS時代もそうでした。入社後すぐに担当するAD(アシスタント・ディレクター)の仕事はかなりハードで、制作現場で”使いっ走り”を徹底的にさせられて、帰宅することはおろか、ろくに寝ることもできないような状況で、1週間靴を脱がないことも珍しくありませんでした(今は、そんなブラックな状況は改善されています)。

 まさに、体力勝負の仕事。幸い僕はアメフト部で身体を鍛え上げていましたから、元気に仕事をこなしていましたが、それでも、要領よくやらないとキツいのでいろいろと知恵を絞ったものです。

 例えば、ADは”使いっ走り”ですから、ディレクターなどに「おい、タバコ買って来い」などと顎で使われます。それで一生懸命走ってタバコを買ってきたら、「遅いんだよ」なんて言われる。しかも、ある人のタバコを買ってきたと思ったら、別の人から「タバコ買ってこい」と命じられる。正直、そんなの「やってられるか」となるのも当然ですよね。

 そこで、僕は、ディレクターが吸っている銘柄のタバコをカートンで買ってきて、ロッカーに入れておくことにしました。そうしとけば、「買ってこい」と言われたら、ロッカーからとってくればいいだけ。楽ちんだし、ディレクターからは「おぉ、お前すげえな」なんて評価もされるわけです。

「あいつは使えるヤツ」と
印象づけるコツとは?

 あるいは、こんな工夫もしました。

 番組本番が近づいてくると、ADは徹夜続きになります。

 その結果、真面目に頑張って”完徹”してしまうようなADほど疲れ切って、いちばん重要な本番真っ最中に”寝落ち”してしまったりします。そして、これがいちばんマズい。普段どんなに真面目にやっていても、本番で使えないとアウト。ディレクターから評価してもらえないわけです。

 その点、僕は要領がよかった。

「ちょっと素材探しに行ってきまーす」とか言って、あらかじめ何ヵ所か見つけておいた“寝場所”に行って、10~15分くらいパッと寝てしまうのです。そうやって細かい睡眠をちょこちょこ取りながらやっていると、徹夜続きでも本番で元気でいられますから、上司や先輩からは非常に重宝がられる。

「あいつは使えるヤツだ」と思ってもらえるのです。

結果を出し続けるのは、「勝ち負け」にこだわる人ではなく、「やるべきこと」をコツコツ続ける人金沢景敏(かなざわ・あきとし)
元プルデンシャル生命保険ライフプランナー AthReebo(アスリーボ)株式会社 代表取締役
1979年大阪府出身。京都大学ではアメリカンフットボール部で活躍。大学卒業後、TBS入社。テレビ局の看板で「自分がエラくなった」と勘違いしている自分自身に疑問を感じて、2012年に退職。完全歩合制の世界で自分を試すべく、プルデンシャル生命保険に転職した。当初は、思うように成績を上げられず苦戦を強いられるなか、一冊の本との出会いから、「売ろうとするから、売れない」ことに気づき、営業スタイルを一変させる。
そして、1年目にして個人保険部門で日本一。また3年目には、卓越した生命保険・金融プロフェッショナル組織MDRT(Million Dollar Round Table)の6倍基準である「Top of the Table(TOT)」に到達。最終的には、自ら営業をすることなく「あなたから買いたい」と言われる営業スタイルを確立し、TOT基準の4倍の成績をあげ、個人の営業マンとして伝説的な業績をあげた。
2020年10月、プルデンシャル生命保険を退職。人生トータルでアスリートの生涯価値を最大化し、新たな価値と収益を創出するAthReebo(アスリーボ)株式会社を設立した。著書に『超★営業思考』(ダイヤモンド社)。