米国の薬物過剰摂取による死者数は2020年に急増し、前年比でほぼ30%増だったことが、米政府の暫定データで分かった。致死リスクの高い薬物が拡散したことに加え、新型コロナウイルスの流行で人々が不安定な状態に置かれたためだと公衆衛生関係者はみている。米疾病対策センター(CDC)が14日公表した薬物過剰摂取に関する暫定データによると、昨年の薬物過剰摂取による死者数は推計9万3331人と過去最高で、前年からの増加幅は少なくとも過去30年間で最も大きかった(2019年の死者数は推計7万2151人)。ジョンズ・ホプキンス・ブルームバーグ公衆衛生大学院のブレンダン・サロナー准教授(保健政策・管理学)は「この問題を追跡してきたわれわれにとっても、驚くべき数字だ」とした上で、「公衆衛生対策は、この危機の緊急性に追いついていない」と述べた。