米国の製造業生産が加速に苦戦している。製造業者が増産したくないからではなく、できないからだ。米連邦準備制度理事会(FRB)が15日発表した6月の鉱工業生産指数(製造業・公益事業・鉱業生産の総合)は前月比0.4%上昇した。プラスを確保できたのは公益事業生産が2.7%上昇したことが大きい。その背景には、記録的な熱波に見舞われ、米国全体でエアコンに使用する消費電力が大きくなったことがある。現に製造業生産は0.1%低下した。5月は0.9%の上昇、4月は0.4%の低下だった。月ごとの振れをならした1~6月の数字を見ると、製造業生産はわずか1.1%の上昇で、新型コロナウイルス流行前より低い水準にとどまった。需要の急激な回復ぶりを考えると、低調な伸びと言える。この問題の主因は、世界的な半導体不足が特に大きな痛手となっている自動車部門にある。自動車部門を除く製造業生産は年初来で2.3%上昇し、ようやくコロナ前の水準に戻った。いずれにしても、さえない数字だ。