コロナ禍をきっかけに、ネット証券などで「iDeCo」や「つみたてNISA」を始めたという人もいるかもしれません。しかし、生涯にわたる資産形成の具体的手段や方法を誰に相談すればいいのでしょうか。インフルエンサーやブロガー、ファイナンシャルプランナーといったさまざまな「専門家」が世にあふれていますが、情報をどう精査して、信用すべきなのか考えましょう。(セゾン投信代表取締役会長CEO 中野晴啓)
ネット証券の新規口座開設が急増
多くの人が手探りの状態
2年前の2019年、金融庁所管の金融審議会市場ワーキング・グループがまとめた俗称「年金2000万円問題」報告書が世間を騒がせました。それ以降、世代を問わず資産形成の必要性への認識が劇的に高まりました。
この報告書では、「iDeCo(イデコ)」と「つみたてNISA」という投資非課税制度の有効活用が強く勧奨されました。さらに「長期・積立・分散」の投資行動3原則を実践していくことによって、資産形成の成果を合理的に獲得でき得ることが示されました。そこで、金融機関各社も金融行政方針に従うべくこれらの訴求に注力するようになったのです。
この状況に拍車をかけたのが今回のコロナ禍で、将来への社会不安を自覚した若い世代を中心とした多くの現役層が行動惹起されて、ネット証券の新規口座開設が急増。とりわけ「つみたてNISA」では20代の参加者が著しい伸びを見せています。
それまでの投資のイメージは、すぐに値上がりしそうな対象を当てにいって、値上がりしたら速やかに売り抜け、一気に儲けるといった発想の、「短期・一括・集中」による投機的行為でした。しかし、ここ最近、投資とは「長期・積立・分散」をベースとした資産形成を成立させるための行動なのだという一般認識に、適正に変わりつつあると私は実感しています。
このように、資産形成の必要性については多くの人に認識が広まっています。とはいえ、具体的行動手段への理解まで定着したとは言い難く、多くの人が手探りの状態です。一体誰に相談すればいいのでしょうか。
また、ファイナンシャルアドバイザーなどから外貨建て保険などを勧められる背景を知っているのと、知らないのとでは判断が変わってきます。ネットの情報に踊らされないよう、知識を身につけましょう。