都議選の結果は
自民党内で焦りを生んでいる

 都議選の結果は、自民党内で焦りを生んでいる。このままでは、次期衆院選で今の自民党議員が次々と落選するのではないかといわれている。今こそ自民党議員は、菅首相や自民党に対し、言うべきことをしっかりと言わなければいけないのだ。自民党を変えなければ衆院選は非常に苦しい戦いとなる。首相の顔色ばかりうかがっていると、その代償は自分に降り掛かってくるということを認識しなければならない。

 西村大臣(西村康稔経済再生担当相)の発言(酒類の提供停止に応じない飲食店に対し、取引先である金融機関に働きかけを行ってもらうという発言)も、危機感の表れだ。西村大臣は、政府が新型コロナ対策に本気で取り組んでいることを示さなければいけないという強い思いに駆られ、あのような発言をしてしまったのだ。

 しかし、ふたを開けてみたら「あきらかに行き過ぎだ」「違法だ」と、批判の嵐。ただちに撤回し、謝罪した。西村大臣が見誤ったのは、ああいった発言をするのであれば、同時に、飲食業界への思い切った支援策を言うべきだった。

 コロナ禍で一番苦しんでいるのが飲食業界だ。倒産・閉店が相次いでいる。先日、一般社団法人日本飲食未来の会の山下春幸代表理事が、日米の給付金の出しかたの違いについて話していた。米国では、まずはどんと給付金を出して、そこから店舗の家賃や従業員の給与、金融機関への返済を支払ってほしい、残りは返済するように、このような「プッシュ型」の給付方法だと。

 一方で日本の給付方法は、毎度毎度の申請が必要な「プル型」という。政府も対策をしているが、数が多く、ひとつひとつが複雑で手間もかかる。制度もコロコロ変わるし、余裕がないときにあれこれ調べて情報をキャッチすることは難しい。利用者側の目線でつくられていないという。

 米国でできているのに、日本ではなぜプッシュ型の仕組みができないのか? 日本は貸付なので、通常は返さなければいけない。新型コロナ対応に追われている中で飲食店が借金をしても、返せっこないだろう。困っている飲食業界をどう支援するか、どう救助するか、このことをしっかりと言うべきだったのだ。

――この先、自民党は本当に変われるのでしょうか?