バイデン米政権の国家安全保障当局と通商担当の対立が、アジア諸国とのデジタルサービス協定締結の妨げになっている。事情を知る複数の関係者が明らかにした。関係者によると、国家安全保障会議(NSC)と国務省の関係者はアジアのデジタル貿易ルールを設定したい考えだ。アジアにおける情報の流れ、デジタルプライバシー、人工知能(AI)の使用基準などが対象となる可能性がある。この協定ではアジア太平洋地域の米同盟国の参加を受け入れる。先端技術の輸出規制などに関する従来路線と同様に、中国は除外する。米国は中国の影響力を制限する方法として、アジアにおける基準を設けるような同盟関係の構築を試みている。一方、米通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表は、議会民主党や労働組合からの反対を考慮したアプローチを求めている。USTRの考えを知る関係者が明らかにした。タイ氏の懸案事項は、貿易政策の優先順位を設定し、「労働者中心」と呼ぶアプローチを維持することだという。