「FIRE」によって人生の選択肢が増える!
――アイデンティティの喪失についてはどうでしょうか?
岩本 仕事をすることが自身のアイデンティティになっている人はたしかにいると思います。ただ、ここで誤解してほしくないのは、「FIRE」は必ずしも仕事を辞めなければいけないというものではありません。その選択肢を得るということです。
「サイドFIRE」のように仕事を続けながら「FIRE」要素を取り込んでいる人は実際に大勢います。なので、早期リタイアとは言いつつも、地域貢献や本の執筆など具体的にやりたいことがある人を除いては、私も完全なリタイアは推奨しません。労働を通して社会貢献したり、人とつながるのは人生を充実させるためにも大事だと思うからです。
ただ、だからといって必ずしもフルタイムのサラリーマンとして働く必要はありませんし、嫌な仕事を無理に引き受ける必要もありません。自分の好きなペースで、心から好きな仕事をやる。そういうスタイルを目指す人にとって「サイドFIRE」はぴったりだと思います。
――やはり「FIRE」を実現することでアイデンティティが失われることはない、ということですね。
私はそう思います。「FIRE」のメッセージは、単純に「人生の時間をもっと大切にしよう」ということです。人生は一度きりしかありませんから。
本当にやりたいことをやりきって人生の最期を迎える。そのためにも「お金を稼ぐだけの労働」をする時間はできるだけ短くしよう。そう「FIRE」は提唱しています。
ぜひ、本書をきっかけに一度立ち止まって、自分の人生についてじっくり考えてみて欲しいと思います。今の生活が、本当に自分の理想でしょうか。もしそうでないなら、理想の生活に近づけるためのヒントが本書のなかにあるはずです。