──その他にも力を入れている商品はありますか?
二宮 同じく自社ブランドの「大地の生菓」という野菜チップスやドライフルーツです。野菜チップスは「バキュームフライ製法」で作るのが特徴で、減圧して低温で揚げるため、本来の野菜の風味とサクサクした食感が楽しめます。そのまま食べても、カレーに入れてもおいしい。「野菜が苦手な子どもが食べてくれる」という声を数多く頂いています。
最近は、ドライフルーツと紅茶のセット商品も開発。紅茶にドライフルーツを入れて飲むというような新しい提案もしています。
──創業前はどんなお仕事を?
二宮 一貫してネット通販事業を手がけてきました。スタートは18歳のときに立ち上げた中古パソコンのネットショップです。その後、福岡のアパレル会社に就職し、ECサイトの立ち上げと運営を8年間行いました。某オンラインモールのメンズアパレル部門で福岡地区売り上げ2位などの好業績を収め、そろそろ新しいチャレンジをしたいと思い、独立しました。
2014年の創業当初は、前職の知見を生かせるアパレルを主に扱っていましたが、それだけでは厳しいと感じ、他の商材を試し始めました。
そこで残ったのが、先ほどの商材です。ステンレスハンガーは、他社から事業譲渡を受けました。野菜チップスは、以前、生ギョーザ持ち帰りの実店舗を出していたときに隣が食品工場で、野菜チップスを試食したらおいしかったので、OEMで作ってもらうことにしました。
──自社商品を作るとなると、資金もかかると思うのですが?
二宮 資金面では、創業2年目から、福岡信用金庫さんに融資をお願いしています。実は福岡信金さんの前に、他の金融機関に融資の相談をしたのですが、冷たい対応をされ、落ち込んだんですよ。しかし、福岡信金さんに行ってみると、アットホームな対応で、融資もしていただけた。それが心に染みて、本当にヒーローに見えましたね(笑)。
●合同会社パシュート 事業内容/インターネット通信販売、食品・食器卸、シェアリング事業、従業員数/3人、売上/2億4000万円(2020年度)、所在地/福岡県福岡市博多区博多駅南3-17-15 シャトーフクセンビル2階、電話/050-7114-4406、URL/pursuitt.jp
以来、融資だけでなく、経営相談にも乗っていただいており、とてもお世話になっています。税理士さんとは異なる視点から意見を頂ける。経営者は孤独なので、心の支えになっていますね。また、信金主催の合同商談会にもお誘いいただき、ここでの出会いをきっかけに、私の地元である大分・湯布院のジャムを販売するようになりました。
──今後の抱負をお聞かせください。
二宮 品ぞろえを広げて、自社で、生活に関わるものを一通り売れるようになりたいですね。
また、ステンレスハンガーを取り扱うようになったのを契機に、プラスチックのゴミ問題に関心を持つようになり、ボランティアでビーチクリーン活動をするようになりました。ステンレスハンガーが広まれば、ゴミ問題の解決に少しは寄与できる。そうした社会問題の解決になるようなこともしていきたいと考えています。
(取材・文/杉山直隆、「しんきん経営情報」2021年8月号掲載、協力/福岡信用金庫)