コロナに勝った証しという
東京オリンピックの誇大広告
新型コロナウイルスの恐怖と灼熱(しゃくねつ)の日差しの中で、1年遅れの2020東京オリンピックが始まってしまった。「始まってしまった」とあえて書いたのは、その開催目的がいまだに釈然としないままだからだ。
当初、安倍前首相や菅首相は復興五輪、コンパクト五輪を訴えていたが、いつのまにか看板が「人類がコロナに打ち勝った証し」や「安心・安全」にすり替えられている。
ならばなぜ無観客なのか。緊急事態宣言下でも選手村で感染者や濃厚接触者が相次いでいるではないか。国立競技場ではスタッフとして働く外国人による性的暴行事件まで起きている。
そもそも東京オリンピック開催がなぜ人類がコロナに勝った証しといえるのか。世界ではまだ感染が拡大している地域も多い。こういうのを誇大広告、あるいは事実誤認というのだろう。
近代オリンピックの始まりは1896年、フランスのクーベルタン男爵が古代ギリシャの平和の祭典を復興させようと提唱したことからだった。その基本精神はアマチュアリズムとフェアプレーである。