パチンコやパチスロなどの遊技機器のキャビネット(木枠)などを製造していた「薮塚木材工業」(群馬県伊勢崎市、年商15億円、以下薮塚)とその親会社で木材加工を行っていた「K.テクニカ」(群馬県玉村町、年商7億円)は6月14日、東京地裁へ破産手続き開始を申し立て、同日開始決定を受けた。負債は薮塚が23億円、K.テクニカが7億円で、単純合算で30億円に達する。倒産が減っている昨今では珍しい部類の大型倒産となった。2社はなぜ倒産したのか。(東京経済東京支社長 井出豪彦)
破産申立書に書かれた
薮塚の粉飾決算
薮塚木材工業貼紙(写真は東京経済提供) 拡大画像表示
薮塚の破産申立書には粉飾決算の生々しい実態や、その発覚後に取引金融機関の間で起きた水面下の激しいさや当て、最終的に架空債権のファクタリングに手を染める経緯などが詳しく描かれていた。
申立書によれば、薮塚とK.テクニカの代表を兼務するA氏は2016年2月に薮塚の社長に就任した直後から売り上げや預貯金を多く見せかける粉飾決算を始め、その決算書を使って昨年10月までに2社で12行から約23億円を借り入れた(薮塚につき12行18億円、K.テクニカにつき8行5億4000万円)という。
昨年7月と9月に複数の取引金融機関に対し、薮塚が粉飾決算および不正な資金流出を行っているとの指摘があり、これを受けて同年10月頃に金融機関では薮塚とK.テクニカの粉飾が認知されるに至ったという。