妻の浮気が原因で離婚。突如、5歳の息子との父子家庭になった。手元に残された全財産は90万円。定時退社で保育園へ息子を迎えに行く毎日で、残業代ゼロ。年収400万円で、カツカツの生活だった。ギリギリの節約生活で、4年で1000万円を貯め、本格的に株式投資を開始。紆余曲折を経ながらも某企業の大株主になり、資産2億円以上を築いた。その投資術を初公開。いま息子へお金と投資の話を伝授する『どん底サラリーマンが株式投資で2億円』

たまご かごPhoto: Adobe Stock

卵を1つのカゴに盛れ?

株式投資には、いろいろな格言がある。

なかでも有名なのが、「卵を1つのカゴに盛るな」というもの。

1点集中投資ではなく、複数の銘柄に分散投資してリスクを減らすことをすすめる格言だ。

先人の知恵を否定するつもりは毛頭ないのだが、投資ステージによってはあえて「卵を1つのカゴに盛る」という集中投資も必要だと思う。少なくとも自分は、そのやり方で資産を増やした。

とくに投資資金が数十万円と少額の場合、たくさんの銘柄を保有するべきではない。

ただし、資産1億円を突破してからは、「卵を1つのカゴに盛る」ようなことはしていない。

大きく失敗すると、資産90万円のどん底に逆戻りする恐れすらあるからだ。

しかし、“億り人”へと向かう「ほっとけ投資」のプロセスにおいては、リスクを許容したうえで、ある程度の集中投資は欠かせない。

仮に節約して貯めた軍資金1000万円を、3つの銘柄におおよそ3分割して300万円ずつ投資したとする。

どんなに入念に選んだとしても、3つの銘柄全部が株価10倍に跳ね上がることはないだろう。

選定した銘柄が「テンバガー」になる確率が10分の1だとしても、3つともテンバガーになる確率は10×10×10=1000分の1なのだ。

3銘柄のうちの1銘柄が10年でテンバガーになったとしても、300万円×10倍=3000万円。

上々の結果とはいえ、10年以上持ち続けて3000万円では、“億り人”を目指す身としては物足りない。

3銘柄に分散投資しようとすると、1つひとつの銘柄の分析と検討にかけられる時間と労力も3つに分散する。

それが思わぬ判断の狂いを招き、3つとも芽が出ずに割安のままで放置される“バリュートラップ”に陥るリスクだってある。

そもそもサラリーマン投資家は、忙しく働いているのだ。

10銘柄以上への分散投資などは、なおさらリスクが高まる。

自分なりに倒産しないと確信したなら「卵を1つのカゴに盛る」という気持ちで1点集中投資をすると決めれば、1つの銘柄のみに時間と労力を費やしてじっくりと分析と検討ができる。

そうやって選んだ銘柄に1000万円を投資して、それが10年後にテンバガーになったとすると、1000万円×10倍=1億円。

もちろん単純計算だが、これだけで“億り人”になれる。

話は少々それるが、このところ自分はトレーニングにハマっている。

トレーニングの世界では、「No pain, no gain」が合言葉。痛みを感じるような苦しいトレーニングに耐えないと、得られるものも限られるという意味だ。

何かを成就させたいと思ったら、そのために耐え忍ぶことが必要となる。その真理は株式投資にも当てはまるように感じている。

1点集中投資が空振りに終わるリスクはある。

でも、リスクなくしてリターンなし。ハイリスク・ハイリターンでは困るが、「ほっとけ投資」ではミドルリスク・ハイリターンを狙えるのだ。