妻の浮気が原因で離婚。突如、5歳の息子との父子家庭になった。手元に残された全財産は90万円。定時退社で保育園へ息子を迎えに行く毎日で、残業代ゼロ。年収400万円で、カツカツの生活だった。ギリギリの節約生活で、4年で1000万円を貯め、本格的に株式投資を開始。紆余曲折を経ながらも某企業の大株主になり、資産2億円以上を築いた。その投資術を初公開。いま息子へお金と投資の話を伝授する『どん底サラリーマンが株式投資で2億円』。
高学歴企業の浅はかな悪だくみ
自分が好きな会社に投資したほうがいい。
「株式投資は美人投票であり、自分の好みの会社ではなく、みんなが好みの会社に投資をするべきだ」とも言われる。なぜなら、その会社の株を買う人が多ければ多いほど値上がりするからだ。
自分だけ買っても、みんなが買わなければ株価は上がらない。
だが、自分が好きでもない会社のオーナーになるのは、決して気持ちの良いものではない。
「株式を買う=その会社のオーナーになる」ということだから、短期的な売買ならまだしも、「ほっとけ投資」では長いつき合いになる。
その間、好きでもない企業の株を持ち続けるのは、自分の流儀ではない。
なんだか格好つけたようなことを言ってしまったが、実は自分も、好きでもない銘柄に投資して失敗したことがある。
それは17年以上前に投資した某ソフトウェア会社。
仮にW社としよう。
W社は、ある特定分野でシェアが高く、毎年保守料が確実に入るビジネスモデルを構築していた。
いまでいうサブスクリプション(定額課金)サービスだ。
IT部門にいた自分はW社の業務内容を知り、将来性に期待して投資を決めた。
そのW社が好きになれなかったのはなぜか?
それは東京大学など、いわゆる一流大学卒の高学歴社員ばかり集めていたからだ。
高学歴の社員が揃っていることを自慢しているようなところが、三流大学卒の自分には気に入らなかった。
単なるひがみであることはわかっている。
一般的には、一流大学卒の優秀な人材が集まるベンチャー企業は、将来性が高くて株価の上昇も期待できそうなものだ。
ところが、W社は経営陣から突然MBO(マネジメント・バイアウト)が発表された。経営陣による自社の買収だ。
「機動的に経営判断した」というのが表向きの理由だったが、MBOを明らかにする以前からW社の株価は不穏な動きを示していた。
そして、ある時期から突然、業績不振を示すIR情報を連発する。
それにつられて株価が下落し始めた。前々から胡散臭く感じていたので、株価が下がるように経営陣が誘導しているようにしか見えなかった。
そこへ突然のMBO宣言。見立て通り、経営陣が安値で自社株を買うために、意図的に悪材料となるIR情報を市場に流し、安値を誘導したように感じた。
その結果、多くの個人投資家が損をした。自分もかなりの損を被った。
これは株式市場を悪用した詐欺のような行いであり、投資家の端くれとして現在でも許せない。
その経営陣は、厚かましいことに数年後に再上場を画策したものの、さすがに東証はそれを認めなかった。
最後はファンドに買われて解体の憂き目を見て、優秀だったはずの社員たちも散逸。事実上、倒産した。
これが将来有望そうだからと、好きでもない会社に投資した末路である。