朝掃除と昼休みの2時間、給料を増やしてほしい

 A子が入社してから1カ月後。出勤すると珍しくB社長がいたので、「朝掃除と昼休みの電話番は納得できない」と話した。B社長は笑いながら、

「僕たちが若い頃は仕事の前に職場を掃除するのは当たり前だったし、昼休みの電話だって少しだけでしょ?だからそんなに細かいこと言うなよ」

 と言った。A子は言い返した。

「分かりました。じゃあ、朝掃除と昼休み分の合計1日2時間分、私の給料を増やしてください」

 すると、B社長は、

「君の普段の仕事って、実質1日2時間ぐらいで、あとはテレビを見ているんでしょ?なのに給料の上乗せを要求するとはずうずうしいにも程がある!」

 と言い放ち、社長室を出て行った。

 その後、B社長は得意先回りを続け、夕方E社労士の事務所に立ち寄った。2人は軽く雑談を交わした後、E社労士がおもむろに聞いた。

「ところでD子ちゃん、今でも会社を手伝っているの?」
「いや、今は夫の仕事の都合で九州にいるよ。だからD子の代わりに事務社員を雇ったんだけど、困ったことになったよ」

 そしてB社長はA子の件をE社労士に話し、そして、

「給料の上乗せ分を請求するというA子さんの言い分は正しいの?」

 と尋ねた。E社労士はまず労働時間について次のように説明した。